子供はピアノレッスンで習ったことをどうしてすぐに忘れるのか?
こんにちは。広島市安佐南区 横山美和ピアノ音楽教室です♪
音の読み方、音符の名前や音価、音楽記号や調性などピアノを弾くために、覚えないといけないことは無数にあります。
ひらがながやっと読めるようになった小さな子供にとって、音符や楽語は宇宙語のようなもの。
一生懸命覚えさせて、これでバッチリと思っても一週間後にはきれいさっぱり忘れている、な~んてことありますよね?(;’∀’)
私もそんな経験をレッスン中に山ほど経験して来ました。
「何十回言ったら分かるのだろう?私の指導に問題あるの?」とヤキモキすることも…
親御さんからは
「うちの子はいつになったらちゃんと音が読めるのでしょう?」
とご相談されることも多々…
では、なぜ子供はすぐに忘れてしまうのでしょうか?
今回は子供がすぐに忘れる理由と対処法についてお話しします。
もくじ
幼児だけじゃない人間は忘れる生き物
ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの発表した「エビングハウスの忘却曲線」という研究があります。
エビングハウスは、無意味な音節を記憶し、時間と共にどれだけ忘れるかを数値化しました。
そこで出た結果は次の通りです。
この表は時間と共に、どれだけ記憶したことが頭に残っているかを示しています。逆にいえば、どれだけ忘れるかということも分かりますね。
人が何かを学んだ時、
20分後には42%忘れる
1時間後には56%忘れる
9時間後には64%忘れる
1日後には67%忘れる
2日後には72%忘れる
6日後には75%忘れる
31日後には79%忘れる
このように人は学んだことを1日で約70%も忘れるのです。
「10学んだとしても、翌日覚えているのはたったの3つ…」
英単語や歴史年表など何度やっても覚えられない経験は誰しもお持ちではないでしょうか?
要するに、そもそも人間の記憶力がこの程度であるということです。
では、「エビングハウスの忘却曲線」の研究から分かることは何でしょう?
- 何かを学ぶ時、その知識があなたにとって意味のものであったり重要なものであったりした場合、暗記は楽である。逆にその内容があなたにとって意味のないものであれば、すぐ忘れる。
- 学習に時間をかけると、吸収できる情報量も増える
- 一度目の学習より二度目以降の学習の方が簡単になる。復習を重ねるごとに忘れにくくなる。
- 一度にたくさん学ぶよりも、時間をかけて何度かに分けて学んだ方が、学習効率は上がる。
- 学んだ直後から物忘れは始まる。最初は一気に忘れ、次第にゆっくりと忘れるようになる。
妙に納得してしまったのはわたしだけでしょうか?(;^_^A
記憶するためには繰り返し復習し時間をかけるしかないということです。
子供がピアノで習ったことを「すぐ忘れる」時の対処法
「音を覚えられない、音楽記語を忘れる、一週間前に合格した曲がもう弾けない…」
特に子供のピアノレッスンの場合「すぐ忘れる」ということは日常茶飯事!
では、そうならないための方法についてお話ししましょう。
繰り返し、反復、継続
残念ながら、すぐに忘れないための魔法の方法はありません。
結局、毎日の練習の積み重ね!
分かってはいるけどそれができれば苦労はしませんよね?
でも、よほどの天才でない限り結局「量」なんです。
音がなかなか読めないのであれば、
- フラッシュカードを毎日やる
- ノートやワークを使い「音」だけの問題をやる
- 楽譜を何度も読む
- ソルフェージュを毎日やる
日々の積み重ね、地道な努力しか方法はありません。
でも、忘れないためのアプローチ方法を工夫すれば、覚えやすくなることがあります。
例えば、「音」を覚える場合を例にしてみましょう。
◎タイプ別「音」の覚え方
- 理論的に覚える子
- 視覚的に覚える子
- 感覚的に覚える子
- 聴覚で覚える子
- 「理論的」に覚える子のは、5線の意味、ト音記号やヘ音記号の成り立ちをきちんと説明する方が覚えやすいです。
- 「視覚的」に覚える子は、フラッシュカードや色音符を使うと興味を持って覚えます。
- 「感覚」で覚える子は楽譜の距離感で覚えるため一つの音だと読むのに時間がかかりますが、複数組み合わせて(かたまり)で覚えると良いです。
- 「聴覚」で覚える子は「耳コピ」タイプ。楽譜を読むことが苦手なので「音」覚えることに時間がかかりますが、歌いながら音読みをすると効果が出やすいです。
どちらにしても時間をかけて反復すれば音は必ず読めるようになります。
目先の結果だけ求めず長い目で見てあげて下さい。
遊びながら反復する
子供が覚えにくいもので「音」の次に多いのが音符の名前と楽語です。
ここでもう一度「エビングハウスの忘却曲線」の研究を思い出してください。
この研究は、無意味な音節を覚えた時のデータであって、これが意味あるものだとどうでしょう?
楽語や音符の名前は子供にとって意味がなくイメージしにくいものではないでしょうか?
楽語はほとんどがイタリア語です。
ですので、子供に「言葉のイメージ」を持たせることが大切です。
ドルチェはケーキやチョコレートのことだよ甘くて、幸せな気分になるよね。
このようにイメージを持たせると覚えやすくなります。
また、速度や強弱記号はゲームで覚えましょう。
- アレグロ
- アレグレット
- モデラート
- アンダンテ
イタリア語なんてちんぷんかんぷん( ;∀;)
そこでゲームを導入‼
速度記号を早い順に並べる、強弱記号を強い順に並べるなど喜んで取り組んでくれます。
市販のものでも構いませんが、、100均のメッセージカードに楽語を書けば「即席楽語カード」の出来上がり‼
カルタやトランプもあるので、ぜひ家族みんなでやってみて下さい。
次に音符の名前。
四分音符、二分音符など毎週のようにやっていても、いつまでたっても覚えない…
これは、たたき方と名前が混同しているということが考えられます。
四分音符のリズムを「タン・タン」とたたいていると四分音符=「タン」という名前だと思っている子が多いです。
「♩これは何というお名前ですか?」 「タンです」
と自信たっぷりに答えられるとつい「ガクッ」となってしまいます(;’∀’)
対処法としてはリズムをたたく前に、毎回音符の名前を確認する、字がかけるようなら「書く」ことも覚えることに役立ちます。
ピアノ学習はすぐに結果を求めてはダメ
どうしても目先の結果に捉われがちですが、ピアノはもっと長い目で見るものです。
音符や楽語は年齢が上がれば必ず覚えられます。
結局、時間をかけて反復するしか方法はありません。
あまり神経質にならず、人間なんて忘れる生き物!記憶なんてこんなもん‼と楽観的考えて楽しく覚えていく方が大切です。
ピアノでせっかく覚えたことを子供はどうしてすぐに忘れるのか?:まとめ
1 幼児だけじゃない人間は忘れる生き物
2 子供がピアノで習ったことを「すぐ忘れる」時の対処法
3 ピアノ学習はすぐに結果を求めてはダメ
私の最近の悩みは「暗譜」が出来なくなったこと…
年齢のせいでしょうか??
覚えるためには、子供たちより何倍もの努力が必要かもしれません…(;’∀’)
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