子供のピアノ練習に対する効果的な褒め方と上手な課題の伝え方
こんにちは。広島市安佐南区 横山美和ピアノ音楽教室です♪
頑張ってピアノを練習している子供に対して「頑張ったね」「上手になったね」以外に褒め言葉が見つからない…
課題や弾けないところを伝えたいけど、やる気をなくしそうで上手く言えない…
お子さんのピアノ練習に対してのお悩みは尽きませんよね?
親御さんが、褒め方に少し工夫を凝らして、上手に課題点を伝えることが出来れば練習も楽しくなりもっとピアノも上達するはずです。
今回は、練習する子供に対して、効果的な褒め方と上手な課題の伝え方についてお話しします。
もくじ
子供のピアノを「褒める」ことのメリットとデメリット
人間は褒められるとドーパミンが放出されることで強い幸福感に包まれます。
教育心理学者ロバート・ローゼンタール教授の研究によると
「やればできる」と言われた学習者は実際成績が伸びることも明らかにされています。
「褒めて伸ばす」という言葉通り、人は厳しくされるより褒められる方がやる気を高め実際に成果も得られるということ。
一方、慶応義塾大学の教育経済学者、中室牧子教授によると
「むやみに子供を褒めると、実力の伴わないナルシストを育てることになりかねない」と言いいます。
ただしこれは、褒めることがいけないということではなく、「褒め方」が大事だということ。
子供に効果的な褒め方とは?
では、効果的な褒め方とはどうすれば良いのでしょうか?
- すぐに褒める
- 能力より努力を褒める
- 他人との比較ではなく自分の過去と現在を比べる
この3つが効果的な褒め方のポイント
すぐに褒める
行動主義心理学の学習アプローチで「即時確認の原理」というものがあります。
「即時確認の原理」は、即時フィードバックと言い換えた方がわかりやすいかもしれません。
これは学習者のアクションに対するフィードバックはできる限り時間的に近い方が良いというルールです。
どこを間違えたか、改善ポイントはどこなのか、すぐにわかった方が改善しやすくなります。
また、理解度の確認や進捗調整、学習意欲の向上にもメリットがあります。
これは学習理解を確認するためには出来る限り早い段階でフィードバックすると効果的であるという考え方。
褒めるにしても注意するにしても「即時」が大事だということです。
練習後すぐに「良く練習したね」
練習中上手く弾けたら「今の曲はとても綺麗だった」
やったことがすぐに認められると嬉しいのは意識が今ここにあるから。
後で褒めようではなく「今」が効果的です。
子供の能力より「努力」を褒める
心理学者、クラウディア・ミューラー教授とキャロル・ドゥエック教授の研究による小学5年生400人を対象にしたある研究があります。
テストの結果が良かった子供に対して
「あなたは頭がいいのね」と言われたグループはその後の成績が下がり
「あなたはよく頑張ったわね」と言われたグループは成績を伸ばすという傾向があったというものです。
努力より能力を褒められた子供は、その後、難題に直面した際すぐに諦める傾向にあるそうです。
逆に、能力を褒められた子は悪い成績でも自分の能力のせいではなく「努力が足りないだけ」と思い難題に挑戦し続けるということも明らかになっています。
毎日ピアノ向かっている「努力」を一番に褒めてあげることで、「努力=自分の力」であることが理解できるようになります。
他人との比較ではなく子供の過去と現在を比べる
「垂直比較」という言葉があります。
「垂直比較」とは、身長が上に向かって伸びることから作られた言葉だそうです。
小さな子供の身長は一年前と比べれば成長しているはず。
一年あれば、おしゃべりでも、遊びでも、体力でも、そして勉強でも、成長した点が必ずみつかります。
その小さな変化に関心を寄せることが、「存在承認」であり、子供は愛情として受け止めます。
「長く習っているのに全然音が読めない」「練習しても弾けるようにならない」
このようなお悩みをよく耳にしますが、それは、他人と比較しているからではないでしょうか?
- 「〇〇ちゃんと比べて弾けない」
- 「3年習えばこれくらい弾けて当たり前」
他人との比較や世間の変な基準に惑わされず子供自身の過去と現在を比べていればいくらでも褒めるポイントはあるはず。
きっと3年前より確実に弾けるようになっているし、音だって読めるようになっていますよね?
自己肯定感を高めるためにも、その子自身の成長を比較し褒めてあげましょう。
ピアノを弾いた後は「フィードバック」で前向きに課題を伝える
褒めることはとても大事なことですが、親としては褒めてばかりもいかず「改善点や課題」もでてきます。
しかし、改善点や課題を効果的に上手に伝えるのはなかなか難しいもの…
下手したら子供のやる気を損ねかねませんね。
しかし、ご心配なく。
「改善点や課題」を伝える時に上手くいく「カギ」があります。
それは、「即時確認の原理」でお伝えした「フィードバック」です。
親ができる上手なフィードバックのやり方
「褒める→改善点・課題の提示→褒める」のサンドウィッチ
フィードバックの手法でNPN法というものがあります。
ポジティブなフィードバックの間にネガティブをはさむのでサンドウィッチ法と言われます。
①具体的に良かったことを褒める
「メヌエットの最初の部分が丁寧に弾けて良かったね」
②改善点・課題を伝える(ここが重要)
「最後の終わり方を丁寧に弾くともっとよくなるんじゃない?」
➂再び褒める場合によっては褒めポイントを追加
「でも、全体的に素晴らしかった。音が綺麗だったよ」
さらに改善点・課題を伝える際の注意点があります。
「How」「What」を明確に
このフィードバックで大切なのはサンドウィッチの具の部分!
改善点・課題具体的に伝えること。
どんな方法(How)で何をすれば良いか(What)を具体的に理解させる必要があります。
一方的に押し付けるのではなく、子供と対話することで導き出せるのがベスト。
「終わり方をよくするにはどうすれば良い?」
♪「気持ちを込める、丁寧に手首を上げる」
♪「dimを書いておくといいかも」
子供が自分で改善方法を見出せるよううまく導いてあげて下さい。
「でも」より「だから」を使う
言葉の使い方は非常に重要です。
「でも」「だけど」という逆接の接続詞を使うとやる気を失います。
フィードバックをする時は意識的に「だから」「…ではどうかな」といった表現を使うようにしましょう。
前向きな言葉の方が子供のやる気もUPしますね。
NG:「良く練習したね。でもこの曲の譜読みはまだよね?」
OK:「良く練習したね。だからこの調子で明日はこの曲の譜読みをしようね」
子供のピアノ練習に対する効果的な褒め方と上手な課題の伝え方:まとめ
1 子供のピアノを「褒める」ことのメリットとデメリット
2 子供に効果的な褒め方とは?
3 ピアノを弾いた後は「フィードバック」で前向きに課題を伝える
4 親ができる上手なフィードバックのやり方
褒め方次第で練習のやる気もUPするかもしれません。
改善点や課題を上手く伝えることでお子さん自身が前向きにピアノに取り組めます。
ぜひ、今日から試してみてください!