同じピアノ曲の楽譜を複数冊所有する目的とは?原典版と校訂版の違いについて
こんにちは。横山美和ピアノ音楽教室です。
先日新しい楽譜を買いました。
エキエル版 F.ショパンのワルツ集 です。
私はすでにワルツ集を2冊持っています。
- 音楽の友社
- パデレフスキ版
2冊もあるのにまた買ったの????Σ( ̄ロ ̄lll)
と突っ込まれそうですが。
これは決して珍しことではありません。
ピアニスト、ピアノの先生、学生さん、愛好家の方も含めピアノ弾きが同じ曲の楽譜を複数冊持つことはよくあります。
それはなぜでしょう?
今回はなぜ同じ楽譜を複数冊所有するかについてお話しします。
楽譜の種類について
まず大きく分けて楽譜には2種類あります。
「原典版」と「校訂版」です。
原典版とは?
作曲家が実際に書いたものを過去の資料を研究した上、忠実に楽譜にされたもの
要するに「オリジナル」です。
作曲家によってはフレージング、指番号、強弱など記譜されていない場合もあります。
それらを自分で解釈(あるいは先生に教えて頂き)し演奏していきます。
始めてその曲を練習する際は、やはり原典版を一度見ておくことをおススメします。
主な原典版の楽譜
- ヘンレ版
- ウィーン原典版
- ベーレンライター版
- エキエル版
校定版(解釈版)とは?
研究者、演奏家など専門家によってより良い演奏が出来るよう加筆された楽譜のことです。
現代の楽器に合うように、指番号、フレージング、強弱などが書き加えられています。
校訂版の良いところは、どのように弾くとより良い演奏が出来るかすでに記譜されているので、自分で考える作業が減るということです。
もちろん、「何も考えず弾く」と言うことではありません。
原典版で一から自分で解釈するよりも更訂版の方がヒントが多い、手助けになることが多いということです。
主な校定版の楽譜
- 全音楽譜出版社
- 音楽の友社
- 春秋社
- パデレフスキ版
楽譜を複数冊持つメリットは何か?
では、同じ曲の楽譜を複数冊持つメリットは何でしょう?
- より解釈を深めることができる
- 弾きにくいパッセージのヒントを得ることができる
実際、私がワルツを弾く場合、メインはパデレフスキ版を使用します。
それとは別にヘンレ版(原典版)の楽譜を見ています。
また、どうしても弾きにくいなど問題が生じた場合、音楽の友社を参考にします。
このように、複数の楽譜を見比べて弾いて見ることで意外な発見があったり、逆にこの指番号は私に合わない、この解釈はしっくりこないなど疑問に思うことも出てきます。
もちろん、一冊の楽譜でより理解を深め試行錯誤することも大事です。
しかし、せっかくすばらしい楽譜がたくさん出版されているので参考にしない手はないのではないでしょうか?
ところで…
楽譜って一冊結構なお値段がしますよね( ̄▽ ̄;)
輸入盤は特に!
学生さんや趣味の方の中には何冊も楽譜を買うことができない方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時は、先生にお借りする、図書館で借りるなどすれば大丈夫!
実際、購入しても一度も楽譜を開かなければ宝の持ち腐れ!
多く所有する ではなく 多くの楽譜を見ることの方が重要なのです!
ショパンを弾くならエキエル版はとてもおすすめ
今回新しく購入したエキエル版はとてもおすすめです(*’▽’)
昨年から、日本語訳版が順次出版されていますので、もし、ショパンの楽譜を買うならぜひエキエル版を!
(決してエキエル版の回し者ではございません(;^ω^))
エキエル版はポーランドの国家事業としてヤン・エキエル氏とパヴェウ・カミンスキ氏が編纂した原典版です。
ショパン国際コンクールの推奨楽譜としても指定されています。
さて、わたしの一番のおすすめポイントは・・・
楽譜の見やすさ!
「解釈」云々言って来ましたが、私の楽譜選びのポイントは何と言っても「見やすさ」なんです( ̄▽ ̄;)
何冊も見比べると良く分かりますが本当に見にくい楽譜ってあります。
こればかりは相性もあるので何冊も見比べていくしかありません。
もちろん、解釈もすばらしいくとても勉強になります。
これからご購入を考えておられるならぜひ一度エキエル版を手に取ってみて下さい(*^^)v
同じピアノ曲の楽譜を複数冊所有する目的とは?原典版と校訂版の違いについて:まとめ
1 楽譜の種類について
2 楽譜を複数冊持つメリットは何か?
3 ショパンを弾くならエキエル版はとてもおすすめ